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デザイン

「ちょうどいい」バランスって。

先日、お客様と現場でお話ししていて、

改めて自分たちのデザインの基礎というか、スタンスを考える機会となりました。

 

私たちは建売住宅を造っています。

ですから、10人中1人が熱狂する家は造りません。

10人中8人が納得できる家を目指します。

それは、間取りもですし、構造や設備機器といった仕様もです。

そりゃ、いくらでも敷地があって、いくらでも費用がかかってもいい、

と言うのであれば、今の日本でできないことなんてありません。

 

けれど、神戸の東灘区や灘区辺りでは、敷地の広さは限られます。

最小限か下手をすればそれ以下、ということもあります。

そんな中で、どうすれば一番納得いく形になるか。

私がプランを考える時は、優先順位を考えます。

家族で集まる場所、寛ぐ場所、寝る場所・・・そういった居室は最優先します。

次は、水廻り。ある程度、家事導線を考えつつ、間取りとして無駄のない場所に配置します。

最後は、共有部分と呼ばれる廊下や玄関、階段。

勿論、ゆったり取れるには越したことはないのですが、優先順位としては最後です。

なぜなら、そこで長々と過ごすことはないから。

私の造った家は、廊下がなさすぎでどの部屋に入ったか分からなくなる、

と言われるほど、笑。

設計事務所が造った飛び抜けて特別な間取りではないけれど、

どんな時にも自分たちの生活に対応できるような間取りでありたい、

と思って設計しています。

 

仕様もそうです。

いくらでも費用を掛けていいのであれば、すべてのスペックを最大限まで上げることもできます。

けれど、予算には限りがあります。

売値に反映するわけにもいきません。

いくらスペックの良い家に住んでも、最低限の洋服と毎日カップラーメンを啜るような生活は

ちっとも楽しくありません。(うちの息子は喜ぶかもしれませんが・・・)

スペックも予算も「ちょうどいい」バランスを心がけるようにしています。

そしてその仕様は、独りよがりでないこと。

いくら私がいいと思っていても、家を買おうとする人たちがいいと思わなかったら、

それは「ちょうどいい」ものではありません。

カッコいい、に越したことはありませんが、使いにくかったら意味がありません。

美しい、に越したことはありませんが、手間がかかりすぎるものでは意味がありません。

ある程度使いやすくて、メンテしやすい。

日々の生活が楽になるもの。

やはり日本のメーカーの商品はよくできていますから、使い勝手については文句ありません。

けれど、それだけで造ってしまうと、味気ないし、なんだかそれっぽいだけのものに。

アイクラーでは、日本の大手メーカーの建材を使いつつ、

タイルや無垢材を所々に使って、デザインしています。

タイルや無垢材は、劣化ではなく風化していくことで、味が出てきます。

それは、使いやすくて、愛着の沸く、私たちが考える絶妙なバランスだと思っています。

ただ、タイルを貼ったらいい、というわけではないんですよね〜。

ちゃんと考えて、全体のバランスを見ながらデザインしています。

 

家は、人生で何度も買うものではありません。

ですから、買った人に後悔して欲しくない。

ちょっと得したかも。って思って欲しい。

そう思ってもらった時、私たちはその物件の事業に成功したということになるのかもしれません。

 

というわけで、日々「ちょうどいい」バランスを模索しています。

間取りも仕様もやりすぎてない、ちょうどいい。

今の生活にも今後の生活にもフレキシブルに対応できる。

シンプルであってちょっとだけこだわったアクセント。

カスタマーライフを見ていただいた方はわかると思いますが、

皆さん色々な家具を合わせておられますが、どれもしっくりくる。

自己満足かもしれませんが、そんな気がしています。